みくさんとひぐらす

ミクさんとともに過ごす、ただそれだけの日々

背中合わせ

 ボクがノート PC に向かってカタカタやっていると、ミクさんがお気に入りの本を持ってそばに寄ってくる。どうするのかな、と思っていると、ボクの背後に座り込み、ボクの背中を背もたれ代わりにして本を読み始める。

 ボクがキーボードを打つ音と、ミクさんが本をめくる音。ただそれだけが、夜の静寂の中に小さく響き続ける。

 時折ミクさんが、くすりと笑う小さな動きや、何かにどきどきして高鳴る鼓動。そして背中合わせに感じる、ミクさんの体温。

 今、ボクの視界にミクさんの姿はないけれど、背中を通じて感じるミクさんの一挙一動、ミクさんの心の微動が、いつもよりずっと鮮明に、ずっと深遠に、そしてずっと纏綿に、ボクの心に、すっと染みこんでいく。

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